(しばらく留守にします。復帰は月曜日から予定)
亡者どもの饗宴
あたし達エルフが住む森の周囲は、実はあまり穏やかではない。
南にはオークの居城、東は川で行き止まり、そして北にはドラゴンが住まう谷がある。
なぜかその場の気分でそこでの狩りをすることになったアトムスクさん、Seljioさんとあたしの3人。
いざ、谷の入り口へ進入すると…アンデッドによる激しいお出迎え。
今やここは膨大な数のスケルトンが沸く、魔の空間と化しているのだ。
凶悪な魔法によってかりそめの命を与えられたスケルトンたち。骨だけに耐久性はさほど無いが魔力によってその一撃は重く、並大抵の冒険者が間違ってここに来ようものなら一瞬で彼らの仲間入りをしてしまう。
そのためここでの狩りで最も重要なことは近寄らせない、そして寄らば斬るの気概で速攻を旨とする立ち回りなのだ。…が、この3人はというと、
「……」
さも当然のごとく正面突破。次々と沸くモンスター相手に前進を止めることなく突き進む。
無言でひたすら倒し、前へ、倒し、前へ。身体じゅうに細かい傷がつきヒリヒリと痛むが休む暇は無い。少し気が緩めば亡者どもの放つ槍が、矢が身体を貫くことになる。
何度も息が上がりそうになるのを耐えながら、がむしゃらに走り続けた。
しかし、これだけの数の魔物が一体どこから来るのだろう。お目当ての竜には会えなかったが、約1時間で倒した数は1300匹以上。ざっと3秒に1匹の速さで仕留め続けていたわけだけど、それだけ倒せば達成感はある。時間にしたら短いものだけど、アジトへ帰還したあとのあたしは満足して護り樹にもたれかかり、うたた寝をするのだった。
南にはオークの居城、東は川で行き止まり、そして北にはドラゴンが住まう谷がある。
なぜかその場の気分でそこでの狩りをすることになったアトムスクさん、Seljioさんとあたしの3人。
いざ、谷の入り口へ進入すると…アンデッドによる激しいお出迎え。
今やここは膨大な数のスケルトンが沸く、魔の空間と化しているのだ。
凶悪な魔法によってかりそめの命を与えられたスケルトンたち。骨だけに耐久性はさほど無いが魔力によってその一撃は重く、並大抵の冒険者が間違ってここに来ようものなら一瞬で彼らの仲間入りをしてしまう。
そのためここでの狩りで最も重要なことは近寄らせない、そして寄らば斬るの気概で速攻を旨とする立ち回りなのだ。…が、この3人はというと、
「……」
さも当然のごとく正面突破。次々と沸くモンスター相手に前進を止めることなく突き進む。
無言でひたすら倒し、前へ、倒し、前へ。身体じゅうに細かい傷がつきヒリヒリと痛むが休む暇は無い。少し気が緩めば亡者どもの放つ槍が、矢が身体を貫くことになる。
何度も息が上がりそうになるのを耐えながら、がむしゃらに走り続けた。
しかし、これだけの数の魔物が一体どこから来るのだろう。お目当ての竜には会えなかったが、約1時間で倒した数は1300匹以上。ざっと3秒に1匹の速さで仕留め続けていたわけだけど、それだけ倒せば達成感はある。時間にしたら短いものだけど、アジトへ帰還したあとのあたしは満足して護り樹にもたれかかり、うたた寝をするのだった。
黄昏の刻
傲慢の塔と呼ばれる場所がある。
世界の東の果てにある凶悪な魔物が外に出ないよう封じられた巨大な塔であり、ここが維持されているからこそ世界は戦乱の世にありながら闇の支配を受けることなく存続していられる。
そんな塔だが、一攫千金を狙えるダンジョンでもあった。
かつては命知らずの冒険者たちが乗り込み、それこそ阿鼻叫喚しながら時には命を落とす者もいたがそれから年月は経ち過ぎ、今では冒険者のほうが強くなり過ぎ、また一攫千金の宝物の価値そのものも薄らいでいた。
そして、運命は塔のその先へと延びようとしていた…
が、同時にそれは現状の終焉をも意味していた。
今日はそれほど遠くない未来、消滅するであろう傲慢の塔へ行くことになった。
昔はひとたび出会えば一瞬で壊滅的な被害を受けて撤退を余儀なくされていたリッチも、誰もが余裕を見せて戦う。時代の変化とはかくも恐ろしいもので、あたしもまた自分の得た強さに対して少し増長するところもあったが、周りの仲間たちはみなあたしよりレベルが高い。襲い来る魔族をバタバタと斬り倒していくその姿はもはや昔の片鱗すら無かった。
人はどこまで強くなるんだろう。
あたしはどこまで強くなれるんだろう。
定刻を過ぎてテレポート帰還した後も、高揚感のようなものは無い。
当たり前に狩りをして当たり前に終わる、ここはそんな場所だったろうか。
護り樹は何も答えなかった。
世界の東の果てにある凶悪な魔物が外に出ないよう封じられた巨大な塔であり、ここが維持されているからこそ世界は戦乱の世にありながら闇の支配を受けることなく存続していられる。
そんな塔だが、一攫千金を狙えるダンジョンでもあった。
かつては命知らずの冒険者たちが乗り込み、それこそ阿鼻叫喚しながら時には命を落とす者もいたがそれから年月は経ち過ぎ、今では冒険者のほうが強くなり過ぎ、また一攫千金の宝物の価値そのものも薄らいでいた。
そして、運命は塔のその先へと延びようとしていた…
が、同時にそれは現状の終焉をも意味していた。
今日はそれほど遠くない未来、消滅するであろう傲慢の塔へ行くことになった。
昔はひとたび出会えば一瞬で壊滅的な被害を受けて撤退を余儀なくされていたリッチも、誰もが余裕を見せて戦う。時代の変化とはかくも恐ろしいもので、あたしもまた自分の得た強さに対して少し増長するところもあったが、周りの仲間たちはみなあたしよりレベルが高い。襲い来る魔族をバタバタと斬り倒していくその姿はもはや昔の片鱗すら無かった。
人はどこまで強くなるんだろう。
あたしはどこまで強くなれるんだろう。
定刻を過ぎてテレポート帰還した後も、高揚感のようなものは無い。
当たり前に狩りをして当たり前に終わる、ここはそんな場所だったろうか。
護り樹は何も答えなかった。